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【大人が出逢う、東京古着】表参道・SOMETIMES STOREで見つける、自分の目がいいと思うもの


表参道の大通りから少し外れに、そのお店はある。
ぼーっと歩いているだけじゃ、多分見つからない。
スマートフォンなんかに夢中だと、もっと見つからない。
ここを訪れた後だと、それは決して位置的な問題じゃなく、心持ちなんだろうと思う。
ここに来ようという意志のある人、または素敵なものに出会いたいという探究心のある人、それはつまり、刺激に対するポジティブなアンテナを持っている人。
そんな人なら、きっと出会えるお店なのだ。



マンションの1Fの一室。
その少し手前に短い手紙のようにも見える手描きの看板がひとつ。
これこそが分岐点であり、目印だ。
自分だけの秘密の隠れ家にしたい。
ここを知っている人は、みんながきっとそう思っているはず。
SOMETIMES STORE



薄いピンクの扉は、まさに夢の入り口のよう。前に立った時からもうドキドキが止まらない。夢なら、今は絶対に醒めないで!という瞬間だろう。
でもこれは夢じゃない。現実だから、扉は開くし、私たちは意志がある限り進めるのだ。



やっぱり、どこまでも終わらない夢だった。
見たことないような装飾のジャケット、鮮やかなチャイナガウン、ファニーなトレーナー、花が咲いたようなボリューミーなスカートに、向こう側がキラキラと透けて見えるワンピース。魔法にかかってしまいそうなジュエリーやヘッドドレス。



壁に、床に、窓に、どこを切り取っても色に溢れた、まさに宝箱のような輝きを放つこの部屋で、今から何が起こるんだろう。どんな出会いをするのだろう。 そう思わずにはいられない空間。



「ここ、以前はアトリエだったんですよ。昔刺繍の個展をやらせてもらって…」 オーナーの松本裕理さんの言葉がすっと腑に落ちる。
だって、ここは空間そのものがもうキャンバスのようだったから。
夢中で大きな1枚の絵を描くような、あるいは、大きな布にいくつもの糸で果てしのない道を作っているような。未知と冒険と可能性。
何かが目覚めるような、何かが引き出されるような小部屋だった。



「独立する前はNUDE TRUMPで働いていたので、自分自身があそこで感じたような驚きを人に与えたい、圧倒されるような空間にしたいという思いは強くありました」



古着好きは通らずにはいられない老舗であり、唯一無二のヴィンテージショップNUDE TRUMP。裕理さんはそこで10年ほど働いた。
いつか自分のお店を持つことを夢見て、圧倒され続けたというその空間で、買い付けや経営のノウハウを学んだのだという。



ここにあるものたちは全部、自由にあるがままに並んでいる。
時代もジャンルも区切りを設けず、ものの中にものが混在している状態。
これこそが、SOMETIMES STOREの、裕理さんの、メッセージだ。



「ファッションだけじゃなく、最近の時代の流れにはすごく違和感があって。ネット社会が進んでSNSもどんどん発達して、自分の目で見てものを選ぶということの価値が薄れてきてる。本当はそれ以上のものなんかないのに」
そして、こう付け加えた。
「でも、だからこそヴィンテージが好きでよかったって強く思うんです。1点1点が一度きりのヴィンテージは、結局は直接目で見ないと着てみないと本当のところはわからないから」



自分の目で直接見て何かを見つけて欲しい。
能動的にいいと思うものを選んで欲しい。
このお店に置いているものは全部、私がそうして選んだものだから。
1つ1つの洋服や小物を見ていると、そんな裕理さんの想いはひしひしと伝わってくる。



「間口が広がればと思ってインスタにもあげますが、そのアイテムだけを見て帰っちゃう人も結構いるんですよね。せっかく足を運んで頂けたなら、もっといろんなものを手にとって、目で見る喜びを感じて欲しいなって思います」 洋服にも帽子にも靴にもアクセサリーにも目はないけれど、
“あ、今視線が合った”
多くの景色をかけ分けた中から見つける1点ものとの出会いには、 そうとしか言えないような瞬間があること。
古着が好きな人ならわかってくれるんじゃないかなと思う。



「いいね!やフォロワーを買ったりする時代ですよ。この子がいいって言ってたから買うとか、この子にいいって言ってもらったら売れるとか。もう、そんな文化さっさと根絶えればいいのにって思っていますよ!(笑)。自分がいいって思うものを自分の目で選ばないと! だからジャンルレスに、あえてごちゃ混ぜに、区切らず並べているんですよね」
カラッと笑いながら、歯に絹着せずに熱く話す裕理さんはかっこよくて、 洋服を見つめる目は優しく、キラキラしていた。



「書いていいですか?」なんて聞くまでもなく、裕理さんは
「自由に書いてくださいね! 多少辛辣なことも言いましたけど、全然オッケーです! 誰かが言わないと、どんどん手遅れになっちゃう」
可愛いものをたくさん知っている、どこまでも男前な人だと思った。



「大人が出逢う、東京古着」という連載を続けてこられて、本当に良かった。そんな瞬間がまた一つ増えた。
それは、夢のようでたしかに実在する、とびきりの場所に会えた時。 そして、見た目だけじゃない、ヴィンテージなマインドと人の言葉に触れた時。
そんな気持ちはぐっと強くなる。
時代の波に流されず、芯を持った姿勢で、血の通った言葉を届けたい。
ここで目が合って今日着ているこの服は、そんな風に一際私を強くしてくれる。
SOMETIMES STOREは、“いつも”待っていてくれるのだ。
自分の目で、自分をときめかせるものを見つけたいと思っている人を。



ヴィンテージシアードレス 29,800円+tax


1950’s ベロアドレス 72,000円+tax


 

 

Photo:Kayo Sekiguchi
Edit:Namiko Azuma
Text:Miiki Sugita

 

INFORMATION

 

SOMETIMES STORE

住所:渋谷区神宮前5-3-17KRハウス102
電話番号:03-6452-6996
営業時間:13:00〜20:00
定休日:水曜日
Instagram: @sometimes_store