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カレーときどき村田倫子 #25 銀座古川


老舗。なんだかちょっぴり、背筋がしゃんとする響き。
今日の取材は格式高い銀座に腰を据える、銀座古川へ。
シックでレトロな雰囲気が、この地にちょうどよく溶け込む。
外食に来た感があるなあ。お洋服もどことなくよそ行きモードにしました。
私なりの“銀座”です。



暖簾には“シチューとカレーの美味しいお店”。
ハンバーグ、エビフライ…愛され続ける数あるメニューの洋食たちの中から、カレーを全面に推している姿勢。もうこの時点で愛しみが深いです。
入り口をくぐると、凛と澄んだ声の「いらっしゃいませ!」
声の主を探すと、スタイリッシュな身のこなしのお母様が…。纏う空気の気品さに、やはり銀座の地に立っていることを思い出す。なんだか素敵な感覚だ。



店内はシンプルで落ち着きがあり、気品のある清潔感が漂う。
空間、演出もそのお店のエンターテイメント! ここがポイント高いと、お料理の期待感もさらに膨らみます。
そわそわしながら、今夜のメインを待つ。
 


お母さん(もう、所作一つ一つがかっこよくてニヤニヤしちゃう!)が、スマートに運んで来てくれたのは、、、 はい、お海老様がダブルで豪華に君臨した「海老フライとドライピラフ クリームカレー添え」(2700円)です!



まずはじっくりと見てください、この圧倒的な画力。
前々からこの目で拝むことを楽しみにしていたので、興奮鳴り止まぬ…やはり圧倒的な迫力です、、、。じゅるり。



思わず、カメラにおさめたくなるそのビジュアルから、"八つ墓カレー"、"スケキヨカレー"などの愛称で親しまれているそう。
確かに…犬神家、、、!それはそれでまた風情ある。



お海老様をぐるっと囲むピラフ。カレースパイスで味付け済みの牛ひき肉、玉ねぎ、にんにくをジュワッとバターソテーし、ピーマンをプラス。
そこにカレー粉を加えたそれだけでもカレーの味わい堪能できる優等生。
ルーをかける前と後、二度楽しめる素敵な仕掛け。
各々でもベストパフォーマンスが発揮してくるとは…! チーム戦になった時、一体どのような化学反応が起こるのだろう。



カレーの方も、もちろん抜かりなし。
ベースとなるカレーに潜む生クリームが味に奥行きを出し、とてもマイルドな口当たり。まったりとしたコクの余韻の後には、ぐっと深みのある辛味。
スパイス32種をブレンドし、たくさん寝かしているので、落ち着いた味わいになっているのだとか。この時点でもう美味しい。
さてさて、醍醐味は、贅沢に、カレーをピラフにとろん。
待ち望んだチーム戦、完成系でございます。
いざ、いただきます!
 


はぁ。思わずため息が出る。
旨味の掛け算は、予想よりもはるかな倍数となって口いっぱいに幸せを満たす。
“最高”の二文字です。
 


アイスティーを啜りながら、満たされた幸せを反芻。あの「午後の紅茶」を監修した人による古川のオリジナルティーは、スッキリとした口当たりで濃厚なカレーをより一層引き立てます。
 


銀座古川は、2001年4月に創業。1代目であるお父様は帝国ホテルのシェフとして36年勤めあげた一流。満を辞して、自分の城として銀座古川をオープンしました。しかし、オープン1年を待たずして急逝。
急なことでレシピの引き継ぎもままならないまま、夫の、父の、意志を守るべく、奥さまとその背を見て同じく帝国ホテルでシェフとして働いていた息子さんがお店を切り盛り。
とにかく夢中で亡き父の城を守って来た、家族にとってもかけがえのない場所なのです。



ビーフカレーをはじめ、クリームシチュー、ハンバーグ、カツカレーなどあらゆるメニューが人気の銀座古川。どのメニューも、残された2代目の息子さんや奥さまが懸命に引き継いだ家族の絆と愛がこもったメニューです。
 


そして、お話を聞いていくと、このお母様、実は元タカラジェンヌ!!!
あぁ、どおりで、、、。すべてがすとんと腑に落ちる。
宝塚退団後、NHKの料理番組でアシスタントを務めるなど、幅広く活躍していたお母様。お仕事の一環で訪れた大使館で、出張シェフとして来ていた先代のお父さんと出会ったそうです。
 


先代のお父様は、家でも家族にいろんな本格料理をふるまっていたそう。
現オーナーの息子さんは、そんな姿を見て、「シェフになりたい」と自然にその背を追うようになったのだとか。。。
お店の持つこの並々ならぬオーラと存在感は、積み上げられた確かな経験値から醸されていて私のハートをドキドキと高鳴らせるのですね。



昔からずっとあり続ける店には、人を惹きつける何か、包容力のようなものがある。銀座古川には、受け継がれた家族の絆と伝統の味、そしてユーモアと愛を絶やさない人肌の温かさ。
ここには作った人の温度と流れた時間がそのまま乗り移っているのだ。
 


料理の味とそこに寄り添うお客さんへの姿勢。
こんなにも素敵な相乗効果と満足感が得られるとは、参りました。 「料理も空間も心ゆくまで堪能してほしい」という銀座古川からの温かいメッセージで、お腹と心をホクホク満タンしてお店を後にしました。
あぁ、実に満たされた。
銀座という街に残る、上品で人懐っこい味。
またあの味わいに、お母様に会いに帰ろう。


Navigator&text:Rinko Murata
Photo:Kayo Sekiguchi
Edit:Miiki Sugita/Namiko Azuma(ASOBISYSTEM)
Design:Yuko Abe(ASOBISYSTEM)

 

INFORMATION

 

銀座 古川
住所:中央区銀座5-7-10銀座EXITMELSA 7F
営業時間:ランチ11:00〜L.O.14:30/ディナー17:30〜L.O.20:30
定休日:なし
公式HP: http://www.ginza-furukawa.com